福田組のあらゆる活動がここにある。
福島市の新たな都市軸・福島西道路にトンネルをつくる
~国道13号 福島西道路 浅川トンネル工事~
現場最前線

福島市を南北に結ぶ国道は1本、その結果、交通が集中し、市民の安全を脅かす事態が起きていました。そこで、並行する環状道路・福島西道路の建設が決定。福田組に任されたのは福島西道路に架かる浅川トンネルの施工です。全長約1800mのトンネルが完成し新たなルートが形成されると車の流れが変わり、安心・安全・便利がかなうと地域の期待を集めています。トンネル建設のプロフェッショナルたちが挑むトンネル建設現場を紹介します。
※所属および掲載内容は2024年7月取材当時のものです。
トンネル建設で福島市の広域ネットワークを構築
東北地方の中核都市・福島市を南北方向に横断する基幹道路は国道4号線だけ。近年、交通の集中が引き起こす渋滞の悪化、交通事故の多発に加え、災害時の代替道路の不足などの問題が深刻になっていました。そこで、4号線と並行する福島西道路を建設し、市内の幹線を環状につなぐ広域ネットワークを構築する事業が決定。工事は1期・2期と進み、いよいよ2期工事の山場となる全長約1800mに及ぶ浅川トンネルの建設が始まりました。
この工事を受注したのが福田組です。断面約60㎡、全長約1800mの浅川トンネルは、大規模な上、数々の問題をはらんでいました。トンネル上の土被りが浅く、地表には県道と民家が、地中には水道管やガス管などのライフラインが存在。さらに、現場が市街地に近いことから、周囲に与える影響にも十分に気を配る必要がありました。福田組はこれまで積み重ねてきたトンネル建設の経験と実績を評価され、難度の高いこの工事を任されたのでした。
トンネル工事の宿命「想定外」を乗り超える
浅川トンネル工事で採用されたのは、NATM工法。掘削部分にコンクリートを吹き付けて固め、ロックボルトを打ち込んで地盤とトンネルを一体化させるという工法です。事前調査では軟弱な地盤と報告されていたので、トンネルの変形を防止するインバートの設置、早期閉合などの補助工法も追加。さらに、掘削後の岩肌の崩れ落ちリスクの軽減と作業の効率化を図るためロックボルト打設専用機を導入し、万全を期していました。
しかし、自然を相手にする土木工事の中でも「想定外」が起きやすいといわれるのが、目に見えない山の中を掘り進むトンネル建設です。浅川トンネルの現場でも、機械掘削を始めて間もなく直径5mの巨大な岩が出現し、急遽、発破による掘削に変更せざるを得なくなりました。トンネルのプロフェッショナルの決断と行動は速く、直ちに火薬の手配や施工手順を調整して仕切り直し、現場を止めることはありませんでした。
新と旧、技術と人が融合し、現場を進める
他の建設現場と同じように、トンネル建設においても、今、ICTやAIなど最先端技術により自動化が進み、安全性や生産性が向上しています。といっても、それだけで工事が容易になるわけではないのは、浅川トンネル工事でも明らかです。福田組が積み上げてきた地質や工法のノウハウに最新の技術が足され、技術と人がかみ合ってこそ、難しい条件や想定外の事態に対応でき、安全でクオリティの高い工事が成し遂げられるのです。
この現場でも、上司や先輩がこれまでに培った経験を若手に継承し、次世代のトンネルのプロを育てるべくサポートしています。また、様々な協力会社のメンバーとは、綿密な情報共有と密なコミュニケーションにより信頼関係を構築して、会社の垣根なくワンチームとして仕事を進めています。着工から1年半、トンネルの掘削は半ばに至ろうとしています。まずは貫通を、そして完工へ。後半戦へ向けて今日も工事は続きます。
トンネルを貫通させ、地域貢献を果たしたい

工事所長
大道 康晴
東北支店 土木部 工事担当
トンネル建設では「安全」を何よりも優先します。掘削した岩盤が崩れたり、湧水が出たりする懸念、工事の振動や騒音、排水が周囲の環境に及ぼす影響を配慮し、建設に関わる社員や協力会社のメンバー、地域住民も含めたすべての人の安全を考えることが、工事所長の一番の使命であると考えています。同時に、工期をはじめ、建材・重機・火薬、予算など工事の全要素を管理し、モノづくりを完成させることも私の役割。今は、一つの山場として貫通を目指し、完成まで工事を牽引していきます。

工事長
内山 定
東北支店 土木部 工事担当
入社から51年。数えたことはありませんが、全国で多くのトンネル建設に関わってきました。山を掘削して内部に空間を作り、岩盤の支保力を利用するトンネルは、土木の中でも特殊な構造体です。まさに自然を相手にする工事であり、一つとして同じ現場はなく、不測の事態も起こります。難題は少なくありませんが、トンネルが貫通し、多くの人が利用できるようになった時の達成感は格別。そのやりがいを若手にも伝えていきたいです。

工事副所長
佐藤 聖将
東北支店 土木部 工事担当
現場の計測データの集計・管理により、トンネル建設全体の進捗と品質を把握し、大道工事所長をサポートしています。浅川トンネルを含む福島西道路が完成すれば、交通の分散によって、渋滞の緩和、交通事故や冬季スタッグの減少、また、第3次救急の医療機関へのアクセス性の向上によって、地域のみなさんの安全や安心がかなえられます。トンネルという巨大なライフラインを担うやりがいをひしひしと実感しています。
プロジェクトチームのエピソードについては、新卒採用サイトのプロジェクトストーリーもぜひご覧ください。
工事概要
工事名 | 国道13号 浅川トンネル工事 |
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場所 | (起)福島市松川町浅川 ~ (終)福島市大森 |
工期 | 2023年3月31日~2025年9月10日 |
発注 | 国土交通省 東北地方整備局 |
設計・コンサルタント | セントラルコンサルタント株式会社 |
概要 |
浅川トンネル(下り) L=1,767m トンネル掘削延長 L=1,629m |