お客様兼パートナーを施主に迎え
時代を先駆ける新社屋を共につくる

~「藤木鉄工株式会社 新社屋」建設プロジェクト~

新潟県北蒲原郡聖籠町、東港エリアに工場を構える藤木鉄工株式会社様。橋梁や建物の鉄骨部材を製作し現場に支給する「鉄骨ファブリケーター」として、福田組が手掛ける数々の現場にも、鉄骨を納入いただいている。
現在藤木鉄工様は、2027年の創立100周年を見据え新社屋を建設中。施工管理は福田組、使用する鉄骨はもちろん藤木鉄工製。
お互いの技術と思いが重なる現場から、両社担当者の声を紹介する。

PROJECT MEMBER

  • 小林 史尚

    新潟本店 建築部 工事部 工事担当

    2014年入社。現場監督として社屋の施工管理を担い、施主である藤木鉄工様との調整など現場全体の円滑な進行に努める。

  • 中原 雄平

    建築部 工務部 BIM課

    2010年入社。福田組のBIM担当者として、建築要素のモデリングと鉄骨等協力会社作成モデルの確認や検討、関係者間の調整業務を担う。

  • 笠原 周太郎

    鉄構技術部 鉄構技術課

    2022年入社。創立100周年を象徴する新社屋建設プロジェクトにて、鉄骨の設計や支給の主担当を務める。

  • 弦巻 あすか

    鉄構技術部 BIM推進室

    2018年入社。鉄骨のBIMモデル構築や図面作成などを担当し、BIM連携による設計・製作・施工の効率化に貢献。

※所属および掲載内容は2025年7月取材当時のものです。

大切なパートナーの未来を
ここで共につくる

今回の現場では、藤木鉄工様は施主である一方、鉄骨を製作・支給するパートナー企業でもある。福田組は施工管理者として、パートナー企業としての藤木鉄工様と連携し、施主としての藤木鉄工様の要望に全力で応える。特筆すべきこととしては、今回、鉄骨部材の製作・検討にBIM※を導入したこと。藤木鉄工様と福田組で一元化されたモデルを共有・更新することで、よりスムーズな連携を実現した。
※BIMとは、「Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)」の略で、建物の設計から施工、維持管理に至るライフサイクル全体を、3次元のデジタルモデルと属性情報で管理する手法。建物の情報を一元的に管理することで、各段階のさまざまな関係者との情報共有がスムーズに行われ、業務効率化を図ることができる。

福田組 小林:
以前から鉄骨ファブリケーターとしてお世話になっている、藤木鉄工様の記念すべき新社屋建設に携わることができ、大変光栄に思います。現場の施工管理を任されている身としては、まず、当工事が施主である藤木鉄工様の業務に支障がでないよう、導線の確保・搬出入の時間管理と調整に神経をとがらせています。当工事に関係する車両以外にも、多くの車両が敷地内を行き交いますので、藤木鉄工様側とのコミュニケーション・調整が欠かせません。BIMに関しては、下記の中原さんが藤木鉄工様と密に連携をとってくださり、スムーズな進行ができていたと思います。ただ、現場で組み立てた時に初めて分かることもあるため、見落としのないように、また適切な対処ができるように、安全・品質管理はぬかりなく進めます。

福田組 中原:
福田組のBIM担当者として、藤木鉄工様と連携して鉄骨と取り合う内外装のモデリングを進めました。私の役割としては、藤木鉄工様の鉄骨モデルと、設備・内外装などの他工種モデルとの照合を行い、配管を通すために鉄骨へ設ける開口(スリーブ)位置を決定したり、鉄骨と設備機器との干渉が発生していないかを確認し調整する役です。これらの確認と、正しい鉄骨部材発注の責務は、施工管理者である福田組にあります。BIMの導入・運用には手間がかかります。正直、使わなくとも建物を建てることは可能です。しかしながら、BIMによって可視化され、集約された情報を有効に活用することは、次世代の活躍や業界の発展へ確実に繋がります。将来を見据えて積極的に導入すべきツールです。このような実践の場を作ってくださった藤木鉄工様に感謝しています。

自分たちのすぐ側で
自分たちが考えたものが建つ喜び

現在建設中の社屋は、空調と照明の自動制御システムや太陽光発電システムなどが導入され、快適な室内環境を維持しながら、省エネと創エネで建物内での消費エネルギーを実質ゼロにするZEB※認証付きの建物となる。そして、使用する鉄骨は環境に配慮されたグリーン鋼材。この「時代を先駆ける新社屋」と言っても過言ではない建物が、社員が働く既存社屋のすぐ側に建つ。工事進捗の様子をつぶさに感じられる今回の現場は、藤木鉄工の社員の皆様にとって特別な環境であり、社員教育の場にもなっているという。
※ZEB(ゼブ)とは、「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略で、快適な室内環境を維持しながら、建物で消費するエネルギー消費量を実質的にゼロにすることを目指した建物のこと。

藤木鉄工 笠原さん:
当社業務である「鉄骨の製作と納入」の、福田組さんとの窓口業務と部材設計を担当しています。当社の創立100周年を記念するにふさわしい「時代を先駆ける新社屋」の鉄骨製作という大役を入社4年目にして務めさせていただき、大変勉強になっています。正直、無事全ての鉄骨が組み上がるまでは全く安心することができず、胃が痛むような日々が続いていました。ただ、自分が基準図から設計したコミュニケーションスペースの階段の鉄骨が納まった様子を見た時は、とてもうれしかったです。このように、自分たちが考えたものが実際に建っていく様子を最初から最後まで見られることは大変意義深く、他の社員も毎日興味深く見ています。この「見られていること」がまた、私のプレッシャーの1つにもなるのですが(笑)。

藤木鉄工 弦巻さん:
BIM担当者として、福田組さんと連携しながらBIMモデルの構築を担当しました。私は以前から他案件でもBIMを担当しており経験もあるのですが、その多くが、建物の一部分であったり、「打合せ時にイメージしやすいように」と3Dモデルとして使用されたりするもので、今回のように鉄骨製作まで一貫して使用したのは過去に1件経験があるのみです。そのため、モデリングまではうまくいったとしても、次工程である鉄骨製作のための2次元図面への出力時に問題が発生することが多く、課題が残りました。また、BIMから出力した図面は、普段使用している図面と表現が異なる部分も多く、製作現場から戸惑いの声も上がりました。よりスムーズな連携がとれるよう、今回の反省を次に活かして、さらなる成長につなげたいです。

鉄骨部材の
設計・製作・施工の流れ

藤木鉄工様と福田組は、今回の新社屋建設に限らず、普段から多くの現場で連携を重ねている。それぞれの専門性を活かしながら、鉄骨部材をかたちにしていく流れを、今回の現場を例に紹介する。

  1. 鉄工部材の作図(藤木鉄工)

    建物の構造設計図をもとに、必要とされる鉄骨部材の製作図を藤木鉄工が作成する。工場で加工する際の指示書となるため、穴を空ける場所、予め溶接しておく部材の位置、ボルトの位置と本数など、現場での組み立てを見据えた詳細な作図を行う。

  2. 製作図の確認(福田組)

    1で藤木鉄工が作成した鉄骨部材の製作図を、福田組が確認する。設備や内外装、意匠などの他の設計図と照らし合わせ、構造や納まりに問題がないかを入念にチェックし、必要に応じて藤木鉄工との意見交換を行い、修正依頼の指示を出す。

  3. 鉄骨部材の製作(藤木鉄工)

    1と2を経て完成した製作図に基づき、藤木鉄工の自社工場で製作を行う。高い精度と技術で加工された鉄骨部材は、建物の構造を支える重要な要素になる。

  4. 現場施工(福田組)

    工場で完成した鉄骨部材は建設現場に搬入され、福田組が施工管理を担当。鉄骨を組み立てる専門業者協力のもと、現場での確認・調整を行いながら、安全かつ丁寧に鉄骨を組み立てる。

より強固な信頼関係を、
この現場から

福田組と藤木鉄工様、両社のつながりは藤木鉄工様の創立当時から。両社の先人たちがコツコツと積み上げた信頼関係が、100年近く続いていることになる。今回新たな連携の形を実践しているのは、この先のより強固な信頼関係構築へ向けたチャレンジとも言える。それぞれの立場から、今感じていることを聞いた。

福田組 小林:
イレギュラーな事案が現場で発見されることもあったのですが、どんな時も最適な対応策を共に検討し、実行していただくことができ助かりました。私のこれまでを振り返ると、必ず覚えているのは、自分がミスをして怒られたことです。なぜ注意を受けたのか、何が問題だったのか。問題点を正しく捉えることができれば、次に踏み出す大きな力になります。今回の経験から得たことも、確実に前へとつなげていきたいです。

藤木鉄工 笠原さん:
今回は納期との戦いも、私にとって大きな課題・挑戦でした。鉄骨の設計も製作も、かけられる時間が通常よりも短かったのですが、「この短期間で、しっかりとまとめられたら気持ちいいだろうな!」と思い、挑みました。福田組さんに迷惑をお掛けするような場面もあり、順風満帆とはいかなかったのですが、やり切れて良かったと思います。さまざまな場面でご協力いただいた福田組の皆さん、社内の諸先輩方に感謝です。どうかこのまま無事に、竣工までつつがなく工事が進みますように。引き続きよろしくお願いいたします。

福田組 中原:
業界全体でも普及に向けて取り組みを進めているBIMですが、実際にはさまざまなハードルがあり、お客様が自ら導入を望む現場はまだまだ少ないのが現状です。そんな中、今回は初めからBIM導入を念頭に進められていた希少な工事。普段から大手ゼネコンさんとも運用を実践されている藤木鉄工様のBIM活用を肌で感じ、大変勉強になりました。また、個人的に心掛けたのは、藤木鉄工様の若手担当者のおふたりに、現場施工の知識を分かりやすく・間違いなく伝えること。そのために改めて調べ直すことも多く、自身の良い復習になりました。

藤木鉄工 弦巻さん:
今回の現場は、私がいる執務室からも良く見えるため、工事がスタートしてから毎日写真を撮っています。普段、鉄骨の組み立て現場に行く社員はほんの一部なので、多くの社員にとって貴重な体験です。私も実際に組み上がっていく様子を見て、自身の仕事に対する理解が深まりました。BIM担当者としては、福田組さんと連携して他の設備や内外装の図面をBIMに統合することで、建物全体の理解につながったと感じています。BIMの理想形である建物全体の運用へ向けて、実践チャレンジの場となりました。ありがとうございました。

夢を託された
感謝と誇りを胸に

私たち福田組にとって、信頼関係こそが業務遂行の要だ。お互いの信頼関係の上に、全てが成り立っている。その中でも、100年近く関係性を維持している藤木鉄工様。全社員の夢を託された、新社屋建設。感謝と誇りを胸に、安全第一で工事を進める。竣工は2026年末の予定だ。

※このプロジェクトについては、コーポレートサイトの FUKUDA JOURNAL や、藤木鉄工株式会社様の100周年特設サイトもぜひご覧ください。

コーポレートサイト FUKUDA JOURNAL

藤木鉄工株式会社 100周年特設サイト

工事概要

工事名 藤木鉄工事務所棟増築工事
場所 新潟県北蒲原郡聖籠町東港3丁目2265番地6
工期 2025年2月17日~2026年末
発注 藤木鉄工株式会社
設計 株式会社創建築設計事務所
面積 建築面積876.92㎡ 延床面積2,763.50㎡
構造 鉄骨造4F 1棟